セルフクリンチングファスナーとは

セルフクリンチングファスナー(圧入ファスナー)は、下穴を開けた部材にプレス圧入する時に部材が塑性変形し固着する仕組みのファスナーです。のこぎり歯状の締め付けリングは、回り留めの役割を果たします。
安定した高い締結力と美しい仕上がりを得ることができ、ねじ立て困難とされていた薄板への使用もできます。自動車・航空宇宙・エレクトロニクス・産業機械・医療機器・エンクロージャー / ハウジングなど、多くの産業分野にわたって信頼性の高い締結ソリューションを提供しています。

セルフクリンチングファスナーの利点

  • 接続される素材のコア内に締結するため、表面付着形式のファスナーで問題になる、溶接作業とそこで発生する有害な溶接ヒューム・ガス・光線の問題がありません。
  • スチールおよびアルミ製の薄いパネルに、強力な耐荷重性のおねじまたはめねじを提供します。
  • あらかじめ用意された下穴にセルフクリンチングファスナーを圧入しパネルに埋め込みます。
  • ケージナットやアンカーナットと比べて、組み立て工数が削減でき、必要な作業スペースも小さくてすみます。
  • 金属の極薄板への取り付けでも、抗引抜力や抗負荷トルクを発揮し、確実に固定することが可能です。
  • コンパクトなデザインとロープロファイルですっきりとした仕上がりとなります。

セルフクリンチングナット

様々な母材に簡単・確実にめねじを立てることができるナットです。様々な素材・頭部形状のものがあり、0.5mmほどの極薄金属板やSUS304材にも取り付け可能です。

セルフクリンチングスタッド

セルフクリンチングスタッドは、取り付け先の部品またはコンポーネントのおねじとして恒久的に取り付けられるように設計されています。
アルミ・スチール・ステンレス鋼などの材質で、様々なサイズ・用途に合わせて選択できます。

セルフクリンチングスペーサー
(スタンドオフ)

セルフクリンチングスペーサーは、プリント基板(PCボード / PCBs)やその他の電子部品組立の壊れやすい回路や電気コネクターを保護します。
また、組み立ての母材から浮かせた状態でハードウェアを取り付けるための安定したプラットフォームを提供します。

プリント基板用の
セルフクリンチングファスナー

プリント基板用のセルフクリンチングファスナーで、1つのPCボードを別のボード・金属シャーシ、またはその他のコンポーネントに接続するように設計されています。
素材はステンレス鋼・炭素鋼・真鍮あるいはリン青銅があり、一部はんだ付けも可能なものがあります。

セルフクリンチングパネルファスナー

このファスナーは、ねじアッセンブリーを金属パネルに恒久的に取り付けます。組み立てにこのパネルファスナーを使用することで、金属パネルの取り付けおよび取り外しを行うことができます。

セルフクリンチングピン

スタッドのように、恒久的に取り付けられたオスピンを提供します。組み立てのために他のコンポーネントと位置合わせする際の“ガイドピン”として多く使用されています。

仕組み

リベットのように、セルフクリンチングファスナーは、土台として使用する素材の下穴に挿入します。金属製品やプラスチック製品でも、挿入後は再びゆるんだり外れたりすることはほとんどありません。インストールは1回限りの永久的なものです。取り付け後、通常は対応するねじを締結します。

セルフクリンチングファスナーは、挿入用スレッドが切られており、挿入すると下穴の周囲の母材が、圧力によりファスナーのシャンクにある環状のくぼみに流れ込み、押し抜きを防ぎます。さらに、ファスナーが母材内での回転を防ぐ鋸歯状のリングもあります。インストールプロセスが完了すると、セルフクリンチングファスナーは母材の永久的な一部になります。

組立時の注意点

  • パネルとセルフクリンチングファスナーの両方が同じような材質であっても、パネルは常にセルフクリンチングファスナーよりも可鍛性が高くなければなりません。セルフクリンチングファスナーを所定の位置にロックするための適切な圧力が必要とされるためです。
  • パネルの最小厚さは、セルフクリンチングファスナーの選択で軽視することのできない要素です。
  • ハンマーでセルフクリンチングファスナーを叩き入れることはできません。セルフクリンチングファスナーの挿入速度が速すぎて圧力が適切に発生できないためです。
  • 必要に合わせて高品質のセルフクリンチングファスナーをご選択ください。高品質のセルフクリンチングファスナーは正確な製造方法と厳しい品質検査が求められます。製造におけるわずかな差異でさえ、あとで大きな問題を引き起こす可能性があるからです。